「先生、デート?」


「やるねぇ!明日のクラスで一番のニュースじゃね?」


「先生!写メ撮らせてよ」


次々に投げかけられる男の子たちからの質問を遮って、先生が大きな声を上げた。


「うるせぇ!ガキはとっとと帰って寝ろ!」


先生のひと睨みで、男の子たちは笑いながら席へついていく。

あたしが胸の動悸を抑えるのに必死でいると、そのうちの一人が、先生のほうを見て微笑んだ。


「先生。それが噂の、今度結婚する彼女、なの?」


ようやくあたしははっとなって、慌てて否定しようとしたのだが――

相変わらずの、にやりとした笑みとともに、



「――そうだよ」



って、先生が言ったから――


それっきり、あたしは何も言えなくなってしまった。