おそるおそる見上げた雄太の顔は、やっぱりいつも通りだったから、あたしはようやく心から落ち着くことができた。


でも、もうこんなハラハラは二度と味わいたくはない。

やっぱり、先生のことを考えるのはもうやめにしなければ。


雄太の話を半分は聞きながら、もう半分ではそんなことを思っていた。





だからその3日後に――先生からの電話がかかってきたときだって、あたしはそれを無視しつづけた。


先生がなんで電話してきたのか、そりゃあ気になって仕方なかったけれど――

その気持ちを我慢して、ひたすら電話が鳴り止むのを待った。


ようやく電話が切れて、あたしがほっと一息ついたとき、


『大事な話がある。だからこれから迎えにいく』


先生からのそんなメールが入って――あたしは泣きそうになった。


先生と別れてから一度も、メアドを変えなかったことを後悔した。

先生とのつながりが消えてしまうのが嫌で、ずっと番号もメアドも変えずにいたのが、こんな形であたしを苦しめるなんて。


あたしは、重い身体を引きずるようにして、家を出た。