雄太から謝罪の電話が入ったのは、約束していた花火大会のちょうど2日前だった。


『ごめん零ちゃん!おれさ、その日夜まで泊まり込みの研究が入っちゃった』


事前にアキも誘っていたのだけれども、やっぱりアキにはバイトが忙しいって断られて――

雄太とふたりで行こうか、って約束していたのに。


「そっか...大変だね。いいよ、あたしは大丈夫」


電話だから顔は見えてないってわかっていても、口元を上に引き上げて言った。

なんか、作り笑顔ばっかり上手になってきてる気がする。


『ほんとにごめん。もしも研究室抜けられそうだったら、また連絡するから!』


「無理しないでいいからね。また来年だってあるんだから」


――“来年”。

なんだか、胸が苦しくなる響きだな、と思った。


あたしは雄太との来年を思い描いているけれど――

未来って、どうなってるのかわからない。



上手く来年が来なかった前例だってあるんだから、と苦笑したとき。


ちょうど雄太と入れ違いに、あたしの携帯に――

かかってくるはずのない番号からの着信が入った。