「そういえばさ、夏祭り、近いよね」


急に変わった話題に、あたしはきょとんとした。


あぁ、そうか。
テストに追われて忘れてたけど――

夏祭り、近いんだ。


「今年もふたりか――亜樹ちゃんと、3人で行ければいいね」


それは高校1年の時に、門限をのばしてもらって先生とふたりで行った、思い出の花火大会。

来年は浴衣で、なんて言ってたけれど――それは結局実現できなかった。


「アキはどうだろね。お盆の時期だからバイトとか忙しそう」


「じゃあ、今年は――ふたりで花火見れたらいいね」


アキ自身も、あたしたちに気を遣って遠慮しそうな気がするし。


「今度は、ちゃんとクリーニングに出しててよ」


「...なに?」


雄太はいたずらっぽく笑った。


「浴衣だよ。ぼくも浴衣で来るからさ」


前回の雄太の浴衣姿を思い浮かべて、あたしはにやにやしてしまった。


「雄太の浴衣姿、なにげにかっこよかったなぁ」


あたしがふいに言うと、雄太は照れて向こうをむいた。


そんな雄太は可愛いくて――

やっぱり、好きだって思えた。