それからあたしは、放課後は毎日、図書室に通った。

また先生に会えないかと、かすかな願いをこめて。



今日も、来ないのかなぁ。

でも――フラレ続けて、3日。
とうとう木曜日になってしまった。

先生が教育実習でこの学校にいるのも、あとは明日だけ。



淡白な人。
やっぱりあれから、ふたりの間にあの日のような会話が交わされることはなくて。

自分から話しかけるのは、今まで以上に勇気のいる行為に感じられるようになった。


すがるような気持ちで図書室を訪れても、下校時間まで待ってみても――先生との接点は見つからない。





先生。

もっと、あなたのことを知りたいんです。

この前のように、化学の話を聞いて――あなたの、瞳に写りたいんです。



自分から話しかける勇気が持てなくて、自分から理科準備室に押しかける勇気が持てなくて――


こんなところで、ただただ先生を待ってる自分がもどかしい。



先生に、会いたい。


でもやっぱり、今日もいつもと一緒。


先生に会えることもなく、
暗くなった帰り道を、ひとりで帰るしかなかった。