「高校の時からの付き合いでね」


「高校の時から!?」


なんて素敵!

ひとみ先輩が大学出たのって、もう1年前だから――ってことは。


「お付き合い、長いんですね。もう6年とか...7年?」


「付き合い出したのが高3だったから、今で5年、ぐらいかな」


羨ましい、の一言しか出なかった。
まだ21のあたしには、結婚というものはあまりに遠い存在で。

たった2才しか変わらないひとみ先輩が、すっごく大人に感じてしまう。


「式はいつなんですか?」

「あと2ヶ月後よ。6月の終わりに」


「ふふ。ジューンブライドなんですね」


「そこだけはゆずらなかったわ」


ひとみ先輩はいたずらっぽく笑った。

その時、ひとみ先輩のケータイが鳴った。


「ごめんね、急に来ちゃって。招待状の返事、楽しみにしてるから」


「いえ、こちらこそありがとうございます!またいつでも来てくださいね」


先輩は笑顔で手を降ると、足早に階段を降りて行った。
途中で、電話に出ている声がする。


『あ、ショウちゃん?ごめんね、電話が...――』