自分が嫌になりそうだった。

どうして、今さら先生とのことを思い出しているのだろう。


バカみたいだ、あたし。






ひどい自己嫌悪に陥ったまんま、雄太とあたしを乗せたバイクは、目的地と思われる場所に着いた。


「ここ、どこ?」


「今まで来たことない?」


うん、とうなずくと、雄太は笑顔になった。


「それじゃあ、連れてきた甲斐があるかも」




そこはフラワーパークだった。

入場ゲートをくぐると、そこはもうまるで別世界のよう。


「きれい!」


雄太に引っ張られるようにして歩いていたあたしだったが、いつの間にか雄太を引きづりながらあたしが先を歩いている。


春が終わり、夏を迎える――今が旬の花たちが、区画ごとに綺麗に植えられている。

早咲きのバラが、風にゆられて、いっせいにその香りを辺り一面にふりまいて――

あたしは、心の奥に引っかかっていたものなんてすっかり忘れてしまった。


色とりどりの花の中を、なんだかメルヘンな気分で歩いていたら、雄太がふと、あたしの手を引っ張った。