おかげで、それ以上つっこまれることはなく、

アキも普段どおりの表情であたしのほうを振り向いた。


「零、じゃあ――ふたりで結婚式の服を見に行くってのも、また延期ね」


あたしはほっと胸をなでおろしながら、うん、と小さくうなずいた。









部室を出て、シャーペンの芯がなくなっていたことを思い出し――あたしは歩いて売店へ向かった。

放課後の、ずいぶんと人が少なくなった売店で、あたしはタウン誌を立ち読みしていた。


ほんとうは、こんなことしてる暇はないのに。


もう4年生なんだから――卒研や、院試の準備をしなくちゃいけないのに。


最近のあたしは、ますます集中力を無くしていた。

勉強をしようにも、なんにも手につかない。



――先生のことが、気になって仕方がなかった。



いくら、もう終わったことなんだから、と自分に言い聞かせても――どこかで、先生を探してしまうあたしがいる。


それは、いるはずのない学校でだったり、人で溢れかえる休日の街中だったり。


どこか視界の中で、先生の姿を探し求めてしまう。