けんかでも、したのだろうか。

それとも、ふたりはもう別れてしまった――とか?


「そんなこと言って――実は原因は、零にあったりして」


おどけたように、アキが言う。


「なによ、それ」


「あの夏祭りの日に、零と先生はふたりきりになったじゃない。それがきっかけで、先生が零のことまた好きになっちゃったり、とか!」


明らかにアキの口調はふざけていたようだったけれども、あたしは動揺を隠せなかった。


まさか、そんなことってあるの?


「そ、そんなはずないって!」


「――そう?」


「そうよ!だって、あの時は先生とはまともに話なんか出来なかったし――なにより、もう先生とは6年前に終わったんだし」


あたしは動揺すると、早口になるくせがある。

アキはそれをよく知っているから――


「零?」


いぶかしげに顔をしかめた。


あたしが何か言い訳をしなきゃいけない、と、急いで口をはさもうとした瞬間に、

タイミングよく後輩があたしたちふたりの間に入ってきた。


「アキさん、こっち来てくださいよ――」