雄太のそんな感情になんて、あたしは今まで気づいたことすらなかった。


だって雄太は、ずっと今まで――あたしの恋を応援していてくれたもの。



なのに、どうして?






雄太はうつむいた。


『おれは、先生のことを幸せそうに話す零ちゃんのことが――ほんとは、ずっと好きだった』


あたしの目から、また熱い涙がこぼれる。

こんなに泣いたら、もう一生分の涙を使い果たしちゃうかもしれない。


『亜樹ちゃんとの3人の関係もずっと壊したくなかったし、それになにより零ちゃんの幸せを大切にしたかったから...おれは今まで隠してきた。
でも最近の零ちゃんは、ずっと悩んでしずんでばっかりで。おれは我慢できそうになかった』


雄太はそこまで喋ると、ひとつ休憩をいれるように、大きく息を吸い込んだ。

そのまま何秒か息を止めて、苦しそうに吐き出した。


その顔は、苦渋に満ちている。


『――もうね、ほんとに我慢ならんのよ。ここ何日かは気持ちを抑えきれる自信はすっかりなくなってた。
もうこれ以上、“いい相談相手の男友達”なんか続けられない』