あたしを抱く腕にさらに力がこもって、あたしは息ができないほどに苦しくなった。


『――雄太くん、くるしいよ』


あたしが涙目になりながら見上げると、雄太は目を合わせないようにしてつぶやいた。


『まだ足りない』



でもその胸のぬくもりには勝てなくて――あたしはゆっくりと、大きく息をついた。


また大粒の涙が、あたしのほほをころげおちていく。

でもそれらはあごをつたって地面に落ちる前に、雄太の黒い学ランの中へと吸収された。




ようやく落ち着くと、それに合わせて雄太の腕も、徐々にゆるんでいった。


あたしが身体を離すと、涙がつたったほほが一気にその熱を放出していく。


『ごめんね、雄太くん』


それと同時にあたしも冷静さを取り戻して、急に恥ずかしくなった。


『だめだよね、雄太くんが優しいから甘えたりなんかしちゃ――』


でも、雄太は何も言わなかった。



ただ、

またもう一度――今度は真正面から、あたしを胸に抱き寄せた。