ぐるぐると校舎の中を回っても、あたしはやっぱり先生のことしか考えられなかった。


もう、先生とは終わってしまったんだ。

もう、先生とは会うことも話すこともないんだ。




アキや雄太が帰った頃合いを見計らって――

階段を上って、3階の自分の教室に戻ろうとした。


でもどうやら、あたしはあまりにもぼんやりしすぎていたらしい。


『あ――』


気がついたら、4階の踊り場――すなわち屋上に続く階段まで上っていた。



もちろん屋上は鍵がかかっているから、ドラマのようにひとり屋上でたそがれることなんてできない。

でも、屋上へ続く階段は他より天井が少し高くて、いつもの校舎とはなんだか違う景色に見えた。


きっと教室に帰っても、クラスの誰かが残っているに違いない。


あたしは下から見えない位置に、腰を下ろした。

コンクリートの階段からは、ずいぶん冷たい空気が上がってくる。


もう3月とはいえ――あたしは少し身震いした。



ひとりで泣くには、もってこいの場所だった。