肌と肌が重なって、甘い熱をおびたとき――雄太がふとつぶやいた。


「――好きだよ」


いつになく真剣だったから、あたしは不思議だった。


「うん...どうしたの?急に」


「伝えたかっただけ」


「知ってるよ」


雄太の下で、あたしは笑った。


「でもね――きっと、零ちゃんが思ってる以上に、ぼくは零ちゃんが好きなんだよ」


そう言って雄太は微笑んだけれど――いつものように、あの焔が瞳の奥で揺れている気がした。








「――あ、お母さん?今ね、雄太のとこなんだけど」


雷こそ静まったように思えたが、天井に叩きつける雨の音は強さを増していた。

隣で雄太は裸のまんま、何を考えているのか天井を見つめている。


「雨がひどいから、今日は帰れないかも」


『いいわねぇ、ラブラブで』


電話口の向こうで、お母さんはケラケラと笑っている。

そうそう、と思い出したように、母が喋りだした。


『さっきハガキが届いてたわよ』


「――はがき?」


相変わらず隣では、雄太が天井を見つめている。




『結婚式――延期するって書いてあるけど』



――遠くで雷が鳴った。