「やな予感がする。ああいう雷の時は、これからどんどん音が大きくなって――近所に落ちたりするのよ」


「さすがは雷博士の零ちゃんですねぇ」


隣で雄太が茶化している。


「これじゃあ、ますます出れないよ――」


あたしがため息をつくと、後ろから雄太が覆い被さるように抱きついてきた。


「出なくていいよ。ずっと」


うーんと曖昧な返事をしているとまた遠くで雷が鳴った。

あたしの雷嫌いを知ってる雄太は――後ろから、あたしの耳をふさいでくれる。


あたしはまわれ右をして、雄太の胸にすっぽりと顔をうずめた。

明日は授業は昼からだし――たまにはいいか、こういうのも。


「服、濡れちゃうね」


せっかく着替えた雄太のシャツが、あたしのせいでまた濡れてきている。


「――じゃあ、脱ぐ?」


あたしは素直にうなずいた。


ひんやりとした空気が肌にふれて――でもすぐに、雄太の暖かいぬくもりに包まれた。



あたしはただぼんやりと、窓にあたって形を崩す雨の雫たちを見つめていた。