雨がひどくなりそうだったので、ふたり相合い傘のまんま、雄太の部屋に一時避難。


「あたし、傘持ってるよ」


バッグの中の折りたたみ傘を取りだそうとしたら、雄太に止められてしまった。


「おれひとりで赤い傘は恥ずかしい」


めずらしく冷え込んで、なんだか肌寒い雨だったので――あたしはそのまま雄太の腕に甘えることにした。






おかげで、お互いに右半分と左半分がびしょびしょに濡れてしまった。


「服乾かないよね〜さすがに」


着ていた薄手のニットはすっかり水を吸って、重く肌にはりついている。

窓越しにのぞいた曇り空からは、さっきよりも大きな雨粒が降りそそいでいる。


「ごめんね、おれのせいだ」


薄暗い部屋の中で、雄太はバツが悪そうに笑った。

借りたタオルで髪やら肩やらを拭いていると、


「――かみなり」


部屋が一瞬だけ明るくなって――ずいぶん経ったあと、ゴロゴロと謙虚な雷鳴が響いた。


「いやだなぁ」


雷は大の苦手だった。

大きな音は、大嫌い。