先生とのことだって、悔しかったけれど――

胸をかきむしりたくなるくらいの嫉妬に襲われたけれども、


仕方ないかと思っていた。


先生の隣で微笑むひとみさんは、あまりにも綺麗で――

幸せそうだったから。



あたしが何も言えずにいると、アキがぽつりとつぶやいた。


「零の先生は――ひとみさんと結婚して幸せになれるのかな...」





アキ、だからもう、先生はあたしの先生じゃない――

けれど。








布団を準備して、電気を消そうとコードに手を伸ばしたとき、


「――雄太のこと、幸せにしてあげてね」


壁のほうを向いたまんま、アキが言った。


「あたしなんかじゃ、雄太は...」


あたしには荷が重かった。

あたしなんかが、そんな役目を引き受けてもいいのだろうか。


「雄太には、ほんとに零しかいないんだよ――」







胸を、えぐられたようだった。

隣で眠るアキに気付かれぬよう、あたしは泣いた。




苦しくて、切なくて――


眠れない、夜だった。