「あ――」


言ってるそばから、アキが誰かを見つけたようです。

あたしはわからずに、辺りをキョロキョロと見回した。


「誰かいた?」


「――ひとみさん」


唖然としたあたしが、その意味を理解する間もなく――


「久しぶりね、亜樹ちゃん」


あたしらに気づいたひとみ先輩が声をかけてきた。

よりにもよって!


「あら、零ちゃんも――今日は、ふたりで?」


ひとみ先輩からのびた長い影に、また誰かの影が近づいてくるのがはっきりとわかった。

まさかとは思うが――怖くて、ひとみさん以外に視線をはずすことができない。


「あ、あのね、紹介するわね――私の彼氏の、彰平」


やっぱりか。

一気に力が抜けて、へなへなとあたしは顔を上げた。




先生が、立っている。




そのありえない状況に、アキも慌てふためいているのがわかる。


「ふたりは私の後輩。亜樹ちゃんと、こちらは零ちゃん」


何も知らないひとみさんだけが、先生にあたしたちの紹介をしている。


おそるおそる見つめた先にいたのは――


まぎれもなく、先生だった。