夕焼けに染まったオレンジ色の空には、うっすらと月が浮かんでいる。


「おまたせ!」


後ろから走ってきたアキが、あたしと雄太の肩にとびついた。


「よし、じゃあ行きますか!」


3人そろったところで、あたしたちは歩き出す。

今日は、雄太の実家の近くの神社の、夏祭りだった。

夏祭りといってもまだ6月なのだけれど――道行く人たちの中には、少なからず浴衣姿が見受けられる。


雄太とアキも浴衣で、あたしだけが浴衣のクリーニングが間に合わなかったから私服になってしまった。


「なんかこれじゃあ、あたしと雄太がカップルみたいじゃない」


と、アキに怒られながら。


道路に立てられた、大きな鳥居をくぐって――神社までの100メートルほどの参道のわきに、ずらりと出店が立ち並ぶ。


「あたしりんご飴食べたい!」


普段は男まさりなアキも、こんな時だけはおちゃめなオンナノコ。

あたしと雄太はそれが可笑しくって、ふたり顔を見合わせて笑った。


振り返ったアキが、怪訝そうな顔でこちらを見る。


「なによ、悪い?」