結局、4人で麻雀なんかしてたらすっかり夜も更けてしまった。


「そろそろ――ぼく、帰ります」


そう言って立ち上がった雄太を、母が止めた。


「もう今日は泊まっていけばいいじゃない。ね、お父さん」


うんうん、と、お父さんも無言でうなずいている。

うちの家族はよっぽど雄太のことが好きらしい。


「じゃあ、すみません――お言葉に甘えて」





あたしの部屋に敷かれたお客用の布団に寝転びながら、雄太はあたしを見上げてつぶやいた。


「今日は楽しかったよ。お泊まりまでさせてもらえて」


ベッドの上に座るあたしは、雄太よりも少し高い位置にいる。


「よかった。でもうちはうるさいでしょう」


雄太が来るとテンションが上がるんだから、と付け足した。

雄太はううん、と笑うと――立ち上がってベッドの上に腰かけて、


「零は将来はどうするの?」


いつになく、真剣な目をしてあたしに聞いた。

少しだけ下を向いて、あたしは横に首を振った。


すると雄太が静かな声でつぶやいた。


「――大丈夫」


「...え?」


「零ちゃんは、ぼくのお嫁さんになればいい」



穏やかな笑顔だった。