雄太は二階に上がって、どうやら亮介の相手をしているらしい。

――亮介ももう受験生かぁ。


そうなると、どうしても自分が受験生だった時のことを思い出してしまう。

あのころは先生が勉強見てくれて――

先生と付き合ってたころは、子どもながらに先生と結婚できたらいいな、なんて思っていた。


でも雄太には、なぜだかそんな感情が持てない自分がいる。

むしろ雄太との付き合いのほうが長いし、一人暮らしの雄太の部屋でごはん作ったり、泊まったり――


密な、深い関係なはずなのに。


これから先も、雄太と一緒にいたら――少しはそんな気持ちが沸いてきてくれるだろうか。



「零ちゃん」


後ろから急に名前を呼ばれて、あたしは飛び上がるほど驚いた。


「ど、どうしたの」


「お父さんがさ、麻雀しないかって」


うちの家族はバカだなぁ、って、思わず笑ってしまう。

いつの間にか雄太と亮介は下に降りてきていた。


「亮介!あんた勉強は?」


「もう終わった」


雀卓を囲む受験生に、お母さんがあきれている。