「はは、わかんないよなぁ」


「ご、ごめんなさい...」


「いやいや、難しい話だから当然だ。うん――具体的な話をすると、色が変わるんだ」


「色?」

植物の色が、変わる?

不思議な話だった。


「そう、花の色。アルミニウムイオンで影響されるのは、あじさいの花の色」


どういうこと?

自分の中に、興味やら疑問やらが、もくもくと広がっていくのがわかる。


「あじさいには、大きく分けてふたつの色があるだろう?赤と青」


校庭の花壇のわきには、梅雨どきになるとたくさんのあじさいの花が咲く。

その色はさまざまで、濃いピンクや鮮やかな青、淡い紫など、雨の日を美しく彩っている。


「あじさいの花ってな、その土によって色が変わるんだよ。酸性の土に根を張れば、その花は青くなるし、逆にアルカリ性の土なら赤くなる」


「へぇ...すごい!そんなことができるんですね...」


あじさいの花言葉は――



こころがわり。


土が変われば色を変えてしまう――似合った言葉だと思った。
なんだか薄情だけれど。


「でも細かく言うと、土の中に含まれるアルミニウムイオンが、あじさいの中の色素と結合して、色を作ってる」