大学4年生になったあたしたちの周りは、6月になって――いよいよ慌ただしくなりつつある。
サークルも引退になるし、卒論やら卒研――大学院に進む人たちにとっては院試、さらには就職活動など、頭を悩ませることばかりが山積み。
「アキはもう内定もらったんだっけ?」
久しぶりに時間ができたから――アキとふたり、大学近くのファミレスでお茶タイム。
部室は後輩も多いから、こんなふうにアキとふたりきり、ゆっくりと話すことも、あまりない。
「うん、うちの教授から推薦がもらえて――どうにか」
アキははにかむように笑った。
経済学部のアキは――大手の保険会社への就職が、最近決まった。
『ほんとは税理士とかになりたかったんだけど――』
そんなふうにアキが言っていたのを、少し前に聞いたことがある。
いくら男女平等の社会だからって――
よっぽどじゃない限り、女はいつか結婚して、家庭に入るもの。
『だから、今がむしゃらに頑張ってても――仕方ないかと思ってね』
勉強が難しかった言い訳なんだけど、と――アキは笑って小さく付け足したのを、今でも憶えている。
サークルも引退になるし、卒論やら卒研――大学院に進む人たちにとっては院試、さらには就職活動など、頭を悩ませることばかりが山積み。
「アキはもう内定もらったんだっけ?」
久しぶりに時間ができたから――アキとふたり、大学近くのファミレスでお茶タイム。
部室は後輩も多いから、こんなふうにアキとふたりきり、ゆっくりと話すことも、あまりない。
「うん、うちの教授から推薦がもらえて――どうにか」
アキははにかむように笑った。
経済学部のアキは――大手の保険会社への就職が、最近決まった。
『ほんとは税理士とかになりたかったんだけど――』
そんなふうにアキが言っていたのを、少し前に聞いたことがある。
いくら男女平等の社会だからって――
よっぽどじゃない限り、女はいつか結婚して、家庭に入るもの。
『だから、今がむしゃらに頑張ってても――仕方ないかと思ってね』
勉強が難しかった言い訳なんだけど、と――アキは笑って小さく付け足したのを、今でも憶えている。