「おはよ」


甘い鳴き声で、猫のようにじゃれついてくる――あたしはこのシチュエーションに弱い。


「ねぇ、チューは?」


雄太にせがまれて、あたしはまた首をすこし傾けた。

まず頬にくちびるがふれて――次はおでこ。

雄太にはよくじらされる。


やっとくちびるにキスしてくれたと思ったら――


「――!」


神業のような素早さで、あたしの服の中に手を突っ込んできたから――あたしは急いで飛び起きた。


「なにしてんの!」


「なにって――ダメ?」


そしてあたしは――この子猫のようにうるんだ大きな瞳に弱いのです。


「だ、だって...あたし昼から、学校行かなきゃいけないもん!」


「でも、まだ7時だよ?」


雄太は不服そうに、口をとがらせている。


「疲れるからダメ!」


あたしは半ば強制的に、雄太の手を振り払って、ベッドを出た。

心地よい涼しさに誘われて、真っ黒のカーテンを勢いよく開ける。


「――いい朝」


あたしは背伸びしながらつぶやいた。

眩しい朝日がまだ目には痛い。