長い、夢を見ていた。

高校時代の、初恋の夢。



あまりにもリアルすぎて――目覚めが悪い。


そしてずいぶんと、あたしは長いこと寝ていた気がする。

まだあんまり働かない頭で――昨日のことを、ぼんやりと思い出していた。


前の晩は徹夜でレポート書いてて、そのまま一睡もせずに学校行って――

そうか、学校終わってすぐに雄太の部屋に来たんだ。


ようやく記憶がつながって、あたしは首だけを左に傾けた。

隣では、きれいな寝顔を見せて、雄太が規則正しい寝息をたてている。


濃く影をおとす長いまつげがうらめしい。

どうせなら、あたしもこんなきれいな顔で生まれて来たかった。



今度は反対側に首をひねって、壁に掛けてある時計を見上げた。

今は朝の7時。


今日は土曜日だけど――昼から、あたしの教授の研究室に顔を出さないといけない。

あんまりうかうか寝ていられないな、と、ぼんやり考えていたら。


「――零ちゃん」


雄太が起きてしまった。


「ごめん、起こしちゃった?」


「ううん、別に――」


そう言って、雄太は寝ぼけたままあたしに抱きついてきた。