この年齢だと――彼氏ができたところで、いつかは別れを経験することぐらい、想像はついていた。


先生とだって、例外ではないつもりだった。


でも、いつからか――

そんな思いは無くなっていた。


先生と一緒にいると心が落ち着いて、幸せな気持ちになって――先生のことをどんどん好きになっていった。


この人しかいないと思った。


そして、先生の色にすっかり染まって――先生しか、見えなくなったあたしは、

先生がいないと、どうしようもない子になってしまっていた。



「――ごめん」


でも、そう謝った先生にこれ以上すがりつくことはできなかった。

涙はもう、いつの間にか止まっている。



あたしはぼんやりと外を眺めていた。


コンビニから出てきたカップルの――彼女のほうが、外の寒さに身を縮めている。

それに気づいた彼氏が、自分の来ていたコートを脱いで、彼女にかけてあげた。


幸せそうに微笑むふたりを見ていたら――また、涙が止まらなくなっていた。


先生とも、あのふたりのような幸せな時間を過ごしたことが――夢のようだった。