見上げた空は、悔しくなるくらいに晴れ渡っている。

いつものコンビニで先生を待ちながら――

あたしは、ゆっくりと息をついた。


自分でもびっくりするくらい、心臓がドキドキと脈打っている。



昨日のメールを読み返して、あたしは目を閉じた。


『きちんと話がしたいから、明日コンビニに来てほしい』





ギロチン台に送られる直前の囚人って――こんな気分なのかもしれない。

先生を待ちながら、あたしは覚悟のようなものを決めていた。



ほどなくして、先生の車が駐車場に入ってきた。


降りてきた先生の表情は、見上げた青空とは対象的に――くもっていた。

でも、その表情はきっと、あたしのほうがひどかったかもしれない。



お互い無言のまま車に乗り込むと、いつもと変わらないムスクの甘い香りが、あたしを包みこんだ。


車を駐車場に停めたまま――先生はつぶやいた。


「急にごめん」


謝らないでほしかった。

謝られたりなんかしたら――別れを認めなきゃいけない気がして。