自分からメールする勇気さえ、今のあたしには無かった。

拒絶されるのが怖くて――別れたい、なんて言葉を先生の口から聞くのが怖くて。


だから、その日の夜に先生からのメールが来たときはびっくりして――でも、やっぱり嬉しかった。


『この間はごめん』


先生が、あたしの誕生日を憶えてなかったことなんて――もう、どうだってよかった。

先生がそばにいてくれればいい。


『いえ、大丈夫です!こちらこそごめんなさい』


あたしは自分の気持ちに素直になろうと決めた。

言葉で表すのは人一倍下手だけど――先生を好きな気持ちなら、誰にも負けない。


先生と、これからもずっと一緒にいたいから――



ふと、流れ星に願いをこめたあの夜を思いだした。

流れ星は速すぎて――お願い事を3回唱えることはできなかった。



だからなのでしょうか。



『別れないか?』



先生のメールに、あたしの動きは止まった。





今までずっと、気付かないふりをしていた。

このまま――幸せな時間が続くと思っていたから。