12月に入るともう――

街は、クリスマスムード一色だった。


赤と緑のイルミネーションがきらめき、あちこちからジングルベルが聞こえてくる。


「――とうとう彼氏できなかったなぁ」


いつもはそんな顔を見せないアキちゃんが、めずらしく寂しそうにぼやいている。


「ねぇ、でもさ――アキちゃんと雄太くんって、仲いいよね」


あたしは慰めでも何でもなくて――ただ何気なく、そう言った。

だって、ふたりはほんとうに仲がいい。


あたしが先生とのデートがある放課後でも、ふたりでマックに行ったという話をよく聞く。


「――雄太と?」


「うん」


「あたしが?」


うん、と大きくうなずくと、アキちゃんは大きな声で笑いだした。


「ははは!ない、ない」


アキちゃんは涙を浮かべながら、可笑しそうにしている。


「零も面白いこと言うわねぇ」


「だって――」


雄太くんはすごくいい人。

紳士的で優しいし、話す言葉も穏やかで――しかも、あの綺麗な顔!


先生の次に、素敵な人だとあたしは思う。