ベッドの上の先生は、呑気に寝転んでテレビを見ていた。

バスローブの前をかきあわせながら、あたしは先生の前に立った。


「おいで」


これから起こることは、今のあたしには全く想像がつかない。

言われるがまま、腕を広げた先生の胸に抱かれた。



長いキスのあと――バスローブの紐がほどかれて、先生のくちびるが首筋をなぞっていく。


相変わらず、身体の震えは止まらなかったけれど――自分でも恐ろしくなるくらい、あたしの心の中は無だった。


首、胸、腰、と――ゆっくりと下りてきた先生の動きが、ふいに止まった。


「寒い?」


さっきと、同じ質問。

でもびっくりするくらい、先生の声は冷たかった。


「大丈夫、です――」


さっきと、同じ返事。

ほんとうは――


怖くて泣きそうだった。


いくら頭ではわかっていても、震えが止まらない。


「――バカだなあ」


はだけてしまったあたしのバスローブの前をあわせて、先生は投げ捨てるようにつぶやいた。


「無理してるってバレバレなんだよ」