なんか、やっぱり信じられない。

今あたしは――先生とふたり、ホテルにいる。


「寒い?」


きっとあたしが、冷たくなって震えていたからだと思う。

部屋の空調からは、生暖かい風が流れてきている。


先生に後ろから抱きしめられたまんま――もう、ずいぶんと長い時間が経ったような気がした。


「――大丈夫、です」


語尾が震えている。


ふいに先生が、あたしの前に回していた腕をほどいて身体を離した。

そのまま、腕をひかれてベッドの前に連れていかれて――


「ガバッ」


何故か、効果音付きで押し倒された。


「暖めてあげよっか」


不敵な笑みに、あたしはタジタジだった。

広いベッドに、仰向けに沈んだあたしと――上から覆いかぶさる先生。


ありえないこの状況。


先生の長い指があたしの服のボタンにかかったから、あたしは思わず飛び起きた。


「し――お、お風呂入ってきます!」


あたしは胸元をギュッと握りしめて、そのまま風呂場へと向かった。


シャワー、という単語が今回ばかりは大人びた響きに聞こえるから――

この時のあたしには、使えなかった。