「いいの?」

と優希君に問いかける。

「ただの先輩だから」

・・・ぎゅっと胸がしめつけられた。

“ただの先輩”

分かってるのに・・・苦しいよ。
蝶と呼ばれた女の子の手を握って
優希君が歩いて行く。
どんどん私との距離は離れていって
見えなくなった。
結局、何にも出来なかった。
私、一人で勘違いしてた。優希君だって
彼女くらい居て当然。強くなろうって・・・・
前に進もうなんて・・・
現実を目の前にして何も出来なかったのに。


「馬鹿みたい」

やっぱり私、逃げてばっかりじゃん。

トントン・・・

「・・・千佳」

後ろに居たのは千佳だった。
私は言葉に詰まった。

「そんな顔してたら寄ってくる男も寄ってこないよ」

やっぱり千佳は優しい。

「そうだね・・・」

言葉にした瞬間涙が余計に溢れた。
もう泣かないって決めたのに、
千佳に心配かけたくないって思っているのに、胸が痛い。
-好きすぎる・・・
今更気づいた。
私はどうしようもなく優希君の事が
好きすぎて・・・大好きすぎて・・・t

「ねぇ千佳・・・私優希君が好き」

うん。私は優希君の事が好きなんだ。

「うん・・・分かってた・・・分かってたよ楓
優希君に出会ってた時から」