-強くなるために。

「楓は今のままでいいの・・・?」

私は首を横に振った。
今のままでいい訳ないよ。
私まだ優希君に謝っていない、このままじゃ・・・
私が前に進めない。

「後は楓が決める事だよ」

千佳が私を真っ直ぐに見た。

「・・・・・・頑張れ!!」

千佳がこうやって私の背中を押してくれる。
だから私は...本当の笑顔で笑えてるんだ。

その日は私達は学校を抜け出し
久しぶりのプリクラを撮って
2人でご飯を食べて夜まで話した。
優希君の事も全部話した。でも泣かなかった。
不思議と涙は出てこなくて。
ただ溢れていたのは・・・
千佳への感謝の気持ちと、私自分自身が
前に進もうと思う気持ちだった。

「・・・優希君、おはよう」

朝。私は通学路で優希君を見つけた。

「・・・おはようございます」

いつもと変わらない敬語だけど
それがすごく“他人”のような感じがして・・・
次の言葉をどう切り出そうか迷っていると

「優希?」

おどけない笑顔を浮かべた女の子が立っていた。
昨日の......あの子だった。

「・・・あの、えっとっ・・・」

私は戸惑った。ど、どうしよう・・・!

「蝶行こう」

優希君が女の子の手を引いた。
彼女だとすぐ思った。
女の子は私をチラッと見て