「別に、泣かせるつもりはなかったんです」

「・・・ごめん、私行くねっ」

「橘先輩っ・・・」

優希君が私の名前をよんだけど、
私は走って屋上に向かった。

-バタンッ

「はぁっ・・・はぁ・・・」

屋上は誰も居なかった。
私の心とは裏腹に真っ青な空が
広がっていて。私はフェンスにもたれ座りこんだ。

「・・・どうしちゃったんだろ、私」

一人の時間は好きじゃない。
優希君の事あの子の事・・・
色々考えちゃうから。
私は千佳を呼んだ。
少しして千佳は来てくれて。

「楓大丈夫?」

「うん・・・」

千佳に全部話した。私は泣いてしまって
また千佳に心配かけてしまったんだ。
色んな事を思い出した。
あの入学式の帰り、千佳とはぐれた事・・・
優希君との出会い。
たった一週間で私達は
たくさんの出来事に出会ったこと。

「楓」

千佳が私を見る。

「もっと甘えていいんだよ?」

その声は力強くて・・・真っ直ぐで。

「一人で抱え込まなくていいよ。」

とても温かかった。

「うん、ありがとう」

涙は溢れるばかりだった。
でももう私は泣かない。
現実から逃げちゃいけないんだ。