ガチャ。



そんな緊張感溢れた部屋のドアが、ノックもなく、いきなり開いた。



「まぁ、まぁ、落ち着けよ、2人共。」



声の先を見ると、先ほどまで部屋の床に倒れていたはずの真木ヒナタが、お盆にコップを3つ載せて、入ってきた。



「あれ、真木さん、いつの間に部屋の外に出たんですか?」



私は、驚いて、真木ヒナタに声をかける。



「それは、企業秘密だぞ、小夜。」



真木ヒナタは、顔全体に笑顔を浮かべて、私を見た・・・・不気味なほどの笑顔を浮かべて・・・。



「・・・・・大丈夫ですか?」



私は、心配になり、真木ヒナタに声をかける。



執事に殴られすぎて、頭のネジがどこか取れてしまったのではないかと心配したのだ。



「何がだよ、小夜?俺は、至って普通だよ、小夜。それよりも、2人共、睨み合っても何も始まらないだろ?お茶でも飲んで、落ち着けよ。」



そう言って、真木ヒナタは、私、執事、加藤刑事にお盆の上のお茶の入ったコップを渡して回った。



「・・・フ~・・・。そうだな。」



加藤刑事が、大きなため息をつき、真木ヒナタから渡されたコップに口をつけようとした。



「ちょっと待ってください。」



執事が、すぐさま、加藤刑事が、コップに口をつけるのを止めた。