「・・・ごめんなさい。」



素直に謝る組長の声。



「分かればいいんですよ、組長。・・・あっ、そうだ!組長、真木さんよりは、絶対にカッコいいですよ。私が、自信を持って断言します。」



「・・・そう?・・・まぁ、確かに俺とヒナタじゃ、勝負にならないかな?・・わぁははははははは。」



「そうですよ。」



組長の機嫌よさそうな笑い声に、すかさず相槌をうつ私。



「まいったな~。小夜も俺のカッコよさにやられていたとは。気付いてやれなくて、ごめんな。」



取調室の中から聞こえてくる組長のうぬぼれきった声。



当然、私の返答は、至極、端的に冷たい声で、「やられてませんよ。」だった。



「・・・・そう・・・なの?」



「はい。」



「・・・絶対に?」



「命を懸けて。」



「・・・・・やっぱり、俺は、もう誰の信じない!!」



「あっ。」



私は、ついつい会話の流れに合わせて、いつもの調子で本音を答えてしまっていた。



再び、取調室の中で、はぶててしまう組長。



それ以降、私の声にも返事をしてくれなくなってしまった。



仕方なく、再び対策を考えるために、私と私の後ろに立っていた執事は、少し離れた場所に移動した。