「大和様~!私のために来てくださったのですね!!」



その時、今まで、一切、しゃべってなかった葵がイスから立ち上がり、組長の側へと走って抱きついてきた。



「んっ、どういうこと?」



葵を受け止めながら、執事を見る組長。



「・・・・・さあ?」



さすがの執事も答えることができなかった。



「そんなに葵のことを愛しておられるのですね。・・・わかりました。この葵、大和様のもとに嫁ぐことに決めましたわ!」



問答無用で進む葵の一人芝居。



さすがにここまでくれば、私も、執事も、真木ヒナタも誰の策略かは、察しがついた。



私達は、一人芝居を続ける葵に注目する。



「・・・・・・何ですの?」



私達の視線に気づき、葵が一人芝居をやめた。