「ええ。与えました。
そして奪いました。自由を。
私にはあの部屋を出入りの自由が無いのですか。」
「お前はピアノを、作曲を、音楽と触れ合っていた時、一番幸せそうだったじゃないか。あの部屋にはそのためのものが揃っていたはずだ。
出る自由も何も、お前に出る必要は無かったじゃないか。」
「そちらが勝手に決めないでください。
私があの部屋で楽しそうにしていたのを見た事があるのですか。
感情の無いロボットのような手伝いに味気のない毎日。
あの部屋にいると私もロボットになりそうです。」
「それでもいい。」
父は唸るように言った。
ようするに、父は娘の顔が見たくないという事だ。
一気に体の温度が上昇する。
「よくない!
あんたはいいかもしれないけどね、こっちの身にもなって考えてみてよ!
言葉も自由にしゃべれず、意識しないとこんなタメ口が使えない、私の身に!
学校もいけず、友達もいない。
私は母さんと同じじゃない!」