父が帰ってきた。

「お帰りなさい。」

沈黙。

どうやら、驚いたらしい。
突っ立ったまま、時間が流れる。

そして、父は口を開いた。


「何が欲しい?」

「…」

「なぜ出た?
全て…与えたはずだ。」

声を押し殺していた。
低い声。
握り締めた拳。

父は私を見て、怒っていた。

でも私だって怒っているのだ。

怒っている?

違う。
非難の思いで溢れているのだ。