「そー。サイン。」

「要りません。」

「あ、そ。」

また雑誌に目を移す。


会話が終わったっぽいので私は水を出した。

グラスに注いで飲む。


冷たい水は健康に良い―ような気がする。

それで頭がだいぶスッキリしてきたから。


事態が読めてきた。


「あの。」

「何?」


水をもう一杯注ぐ。


「先生には私の事は言わないで下さいね。」

「は?」


訳が分からない顔(、整った顔しているのに台無しだ)を向けてきたので一から説明した。


ここは貴久の部屋であり、私はー


「って待て。ここ空流先輩の部屋?」

「ごもっとも。」