「あの…」
「うん。」
ありったけの勇気を振り絞って声を出したのは良かったものの。
ああっ。
言う事が無い。
「何だよ、俺ご飯は黙って食う派なんだけど。」
「えっと」
何か何か…
「早く食べていただけませんか?
私、結構疲れたんですけど。」
どこぞのヒステリックな女なんだ、と思うようなセリフ。
しかし兄は怒る事も無く「そうか」と言い食べる速度を速くしただけだった。
この事でよーく分かった。
貴久は良い兄だ。
ピアノの駄々の時もそうだし、今もそうである。
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