「そうか、ピアノなあ。
…ピアノがなんだ。」

「弾きたい。」

もうお母さんのピアノ限定は止めた。

ピアノなら許してやろう。
電子ピアノでもいいんだ。

―弾きたい。


「そ。じゃ、ついて来い。」


彼は早く言え、と言いながらドアを開けた。

外を出てみるとここは1階の一部屋だという事が分かる。
ドアは緑色で新しい。

「ここは『あぱーと』?」

「いや、学校の寮だ。」


そうか。

寮なのか。

「なのにあのバイクは何?」

「俺のだ。」