「原因はそれじゃなくて、」

「なんだ。」

言葉をざっくばらんに斬られたのが気に食わないらしい。
お兄さんは生意気だ、と言わんばかり睨んできた。

こんな所は昔も今も変わらない。



ガキ大将め。


私は心の中で小さく毒づく。


「なんだって聞いてる。」

「ピアノ。」


恥かしいけれど
素直に打ち明けるしか出来まい。

私は小さくそう言った。


「ぴあの?あの黒と白の88個の鍵盤あるヤツ?」

「詳しいですね。」

あっ。
気が付いたときには遅かった。

「敬語禁止。」

「…うん。」