「全然いいわよ。今度ウチに来なさいよ、色々教えてあげるから。

料理はね、作った人の愛情が伝わるもんなの。

だから彼氏を大切にしなさい。作ってあげたい人がいる事が、一番の幸せなんだから」


「ねえ、今からは迷惑だよね?康彦さん帰って来るもんね。早く料理を覚えて、彼氏を喜ばせてあげたくて…」

「もう帰ってるけど…大丈夫!妹の頼みだもん。康彦も分かってくれるわ。来なさいよ」

春の夜、妹は自転車で姉の家に向かう。

春の夜風が頬を撫で、まるで品のいいシチューみたいな暖かい良い匂いがした。