「まさか…これは」

安川はそうつぶやくと、貪る様にクマチョコを口に入れた。

チョコ泥棒安川の目に、暖かな涙が浮かんでいる。

夕日に涙が照らされ、一粒の涙がまるでダイヤモンドの形に見えた。


「…警部。今からチョコ質を解放します。そこで待ってて頂けますか?」

安川は穏やかな表情で、下にいる警部にそう告げると、階段を降りてゆっくりと外へ出て来る。

チョコ質の無事を確認すると、警部は安川の腕に手錠をかけた。