凍りついた新郎とは対象的に、これから妻となる新婦は隣でニコニコして座っている。

恭子は二人を睨んだまま、静かにマイクを握りしめた。

出席客からの拍手がが波の様に恭子を渦巻くと、次第に月を映し出した湖面に似た静けさが辺りを包んだ。

恭子は湖面に浮かんだ月。静かにマイクの前に佇む。

凍りつく新郎を横目に前を見据え、声を絞り出した。

「私、相田 恭子は新郎の一茂さんとは…」

恭子は目の前のマイクに向かい、冷静に声を出す。