やっぱり路地には人がうずくまっていて、ピクリとも動かない。




男の人?



「あのぉ…大丈夫ですか?」




恐る恐る声をかけてみるが、返事はない。







もしかして…死んでる?







私は怖くなってチョコレートが手にこぼれているなんて気付かなかった。








「…チョコ?」






突然低い声がして私はビックリする。







動いた…。






「お前…食い物持ってんのか?」






男は立ち上がると私を睨みつけた。








「は…はい?」






「食い物よこせ!!」



突然詰め寄ってくる男に私達は硬直する。




「ヤバイって…奈子!」


綾菜が後退りしながら私に言う。








てか、コイツ何だよ!?






私が後退りすると、男の手が私の腕に延びた。



「ひぃ…っっ!」












目をつむると、どこも痛くない。




てか、何もされてない?





ゆっくり目を開くと、クレープをおいしそうに食べている さっきの男がいた。















「は??」











これが、私と彼の出会いだった。