明るかった空が段々暗くなってきて、辺りはカップルだらけだった。




「お腹すいた?」


戒は車を駐車場に止めた。



「うん!いっぱい歩いたしね。 で、ここレストラン?」




目の前にある大きい店を私は指差す。




「うん。イタメシだけど。」





またまた すごい所に来てしまった…。








店に入ると、オーナーが席を案内してくれた。




「ワイン…は飲めないからオレンジジュースでいい?」



「あぁ…うん。」







夜景が綺麗で、私はしばらくそれを眺めていた。



「こういうとこ…よく来るの?」




「来ないよ。でも今日は特別。」




え?




「今日は奈子がいるから。」





戒の優しく微笑む顔に私の鼓動は早くなった。




「今日…戒優しいよね。」



「そうかな。」



今日の戒は優しいモードだな。




だから優しいんだよね?




私のためじゃないよね?




「戒って彼女いるの?」



どうしよう…


もしいたら…


「いないよ。」


戒はワインを口にしながら言った。




よ…よかったぁ



私は口元を緩ませた。



「奈子は…いないか。」


「はぁ!?」



「お前全っ然全く色気ねーしな。」





こんの男め。



さっきまでの私の顔は鬼のように変化した。



「帰る!!」



私は鞄を掴むと店を出た。



「おい!待てよ!」



追いかけてきた戒は私の腕を掴んだ。



「前にもこんなことあったような気がするんだけど。」



戒は溜め息をつきながら頭をかいた。




「なんで今日誘ったの?」



突然の質問に戒は私の顔を見た。



「なんでって…」