「私ね、妹とお兄ちゃんがいたの。妹もお兄ちゃんも頭良くてさ、私だけ落ちこぼれだったんだよね―。」




私は笑みを浮かべていた顔を下に向けた。





「私のお母さん 男作って出て行ってさ、お父さんは新しい女の人と結婚したの。」















9年前―…




「奈子、新しいお母さんだよ。」




お父さんに紹介された新しいお母さん。




「よろしくね、奈子ちゃん。」








知らない人…




「はい…」








これから始まる生活が、まさかあんなことになるなんて思いもしなかった。











兄:英垣 功(はながき こう)14歳



妹:英垣 楓 (はながき かえで)6歳











「今日、テストどうだった?」



学校の帰り道。


兄にそう聞かれ、私は首を落とす。



「70点だった…」



「70点… お母さんにバレないようにしないとね。」




「お兄ちゃんは?」


「100点だった。」

「楓は?」


「100点。」







平然と答える二人に私は涙を浮かべる。






「なんで…私だけ落ちこぼれなんだろ…」