……煙草の匂いがする。




温かい……









目が覚めると、私は車の中で眠っていた。






「……え? あれ?」




私に掛かっていたジャンバーは戒のものだった。







外に出てみると、冷たい空気が包みこむ。




「てか…もう朝じゃん。」





ヤバイし。


竜紀さん…絶対心配してるよ。






「お、起きたか 生意気小娘。」


「はぁ!?」




勢いよく振り返ると、缶コーヒーを持った戒がいた。





「……ほら。」




缶コーヒーが私に向かって投げられる。




「ありがと…」






「大丈夫か?身体。」


「うん。だいぶ良くなった。」



「なら…いいんだけど」












「…………………。」


「…………………。」











気まずい…









だって昨日 あんなコトあったし!


私あんなコト言っちゃったし…









握りしめる缶コーヒーで、私の手は温かくなっていた。





「…お前さ、」


「はい!?」




…びっくりした。


だって急に話されたから…







「お前、“いらない”って言われたことあんの?」













「…え………」




私は胸の奥が凍る感じがした。















私は目を閉じた。









「…あるよ。」




消えない私の過去―…