ふたりで過ごす時間を重ねていくたび、お互いのことを少しずつ知っていった。


好きな音楽やテレビ、観たい映画や子どもの頃のこと。
そんな他愛もない話をたくさん交わしていき、お互いのことを色々と知った頃、ふと美乃が高校のことを口にした。


「私ね、中卒なの。高校は二回も留年して、結局は中退しちゃった……」

「でも、それは病気のことがあったからだろ? 美乃が悪かったわけじゃない」


俺は、彼女の瞳を真っ直ぐ見つめ、慰めるように頭を撫でた。



美乃は、生まれつき心臓を患っていた。


入院するようになったのは、信二から聞いた通り一五歳の時。
最初はまだ短期入院ばかりで、自宅療養をしたり高校にも通っていたらしい。
保健室で過ごすこともあったものの、できる限り頑張って登校していた。


だけど、二年生に進級する前に本格的な入院生活を強いられ、休む回数も増えた。
それでも、なんとか学校に通って進級を目指したけれど、結局は出席日数が足りなくて留年してしまった。


それからは家に帰ることもほとんどできなくなり、美乃は一年の半分は入院生活を送ることになった。
一緒に入学した友達が三年生に進級する時にはまた留年してしまい、そのまま退学した。


彼女は、『独り言』だと言ってこのことを語っていたけれど、ちゃんと俺の目を見て最後まで話してくれた。